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塀の中のブロガー


テクノバーンニュースを観ていたら、以下のようなニュースがありました。
アメリカでは日本と違って政治ブログが既存ジャーナリズムと並ぶオピニオンソースとして市民権をもっていると云われてますが、このジョシュ・ウルフ(Josh Wolf)氏もその有名ブロガーの一人のようです。

アメリカで有名ブロガーが収監の見通し、記事の中立性を貫くために裁判で証言拒否

米国で自身が撮影したビデオニュース画像を掲載するブログサイトを運営しているフリーのビデオジャーナリストのジョシュ・ウルフ氏が近く、裁判所での証言を拒否を理由に収監され、最低1年の禁固刑を科せられる可能性が高まってきた。

ウルフ氏は昨年サンフランシスコ市で行った暴動の模様をビデオに撮影し、自身のブログサイトにビデオニュースとして掲載。このビデオには暴徒がパトカーを破壊する模様が写っていたことから、検察当局が警察に対する暴力行為の目撃者として裁判でウルフ氏に対して証言を行うことを求めた。しかし、ウルフ氏は自分自身はジャーナリストであり、報道ソースの秘匿権と報道の中立性を主張して、一切の証言を拒否。判事は証言拒否は認めないとし、このまま証言拒否を続けた場合には法廷侮辱罪で収監することをウルフ氏に言い渡している。

検察側もウルフ氏が暴動に関与したとは主張しておらず、争点はウルフ氏が報道の中立性を主張して法廷で証言拒否の姿勢を示している点にある。

この事件に関して米国内では、TVなどのニュース番組で放映されている事件映像は、警察当局の要請があれば提出して、事件を撮影したカメラマンは事件の証人として法廷で証言を行う義務が生じることともなり報道の中立性を侵害するものとなるのではないか、といった論争を呼んでいる。

ジャーナリストの信念を貫くことで刑務所に入るのか、信念を放棄することで自由の身を手に入れるのか、ウルフ氏は非常に厳しい選択を迫られている。ただし、今のところウルフ氏の証言拒否の意思は固く、本人は迷うことなしに刑務所に入ることを望んでいるようだ。


ここでは未だ収監されてないように書かれていますが、すでに今年の8月にはこの人、収監されてます。8月のCNET Japanには「塀の中のブロガーの戦い」と称して収監中のインタビュー記事が採り上げられてます。また、リベラル思考の強い「国境なき記者団」の発表する「世界の報道自由度指数」の記事で同組織はアメリカの報道自由度について、ウルフ氏の投獄を理由にアメリカ批判をしてます(報道の自由度で米は53位、日本は51位とダウン 「国境なき記者団」の評価、キャッシュのみ)。

このウルフ氏を検索すると、大抵はその形容に「アナーキスト(無政府主義者、Anarchist)」が付いているようですので、実際にその手の方なのか、多くのメディアにはそのように観られているかのどちらかなのでしょう(例えば、Anarchist blogger stays in prison, defying grand jury order [塀の中のアナーキストブロガー、大陪審の命令を無視])。

だからと云う訳ではないんですけど、テクノバーンにある記事中の「報道の中立性」という言葉がちょっと引っ掛かりました。
元はと云えば、この事件、ウルフ氏が昨年に撮ったデモ(暴動)におけるビデオ映像の提出を州法の取材源保護法を盾に拒んでいるというものです。その映像にデモ主催者達(アナーキストらしいが確定できず)が警察車両を破壊したり、警察官に暴行を加えたりしたもの(ここは適用外になっているようですが)が映っているはずなので提出、証言を求められ、それを拒否しているので法廷侮辱罪で収監されたという経緯です。

ということは公開された映像にその部分が映っているのでしょう(何処かのTV局が買っている)。だとしたら、それは事実なわけですから、その事実を見聞きしたものとして証言を拒否する姿勢は逆に「中立性」に反する行為ではないか?ということです。

例えば、これが反対に「デモ主催者側が警官に非道い暴行を受けていた」だったら、果たしてそれでもウルフ氏は提出を拒否したのか?ということです。勿論、仮定のことですから、例えそうであったとしても映像提出を拒否するかもしれません。であれば、この人の主張である取材源保護法を盾に拒否する姿勢はある意味、正当性を持つとは思いますが、依然として、「事実をありのままに伝える」という意味においての「中立性」を主張することはできないと思います。

ジャーナリストとして、取材源の秘匿は確かに守らねばならないことですから、非常に難しい選択だとは思います。しかしながら、少なくとも「アナーキスト」という形容をされるウルフ氏としては、或いは広く「中立性」を訴えたいのなら、証言に立つという選択肢も有り得るのかな?と思います。
当局はウルフ氏のデモへの関与は否定しているようですが、同じ反政府思考をもつものとしてデモ主催者側へのシンパシーは疑われているように思います。彼にとっては、その辺りにも拒否の理由があるのでしょう。
取材源の保護、中立性、思想性の偏りの狭間の中で、彼の決断は如何に?ですが、多分彼は喜んで塀の中に舞い戻ることでしょうね。それが本当の意味で正しい決断かどうかは別問題でしょう・・・おそらく。


アメリカのブロガーと云えば、CBSの有名キャスターを辞任させた件で一躍脚光を浴びましたよね(キラーブロガー killer blogger、「現役雑誌記者による、ブログ日記!」様)。キラーブロガーは大抵の場合、左傾化した米報道界を叩きますので、その思想性は保守寄りのようです。つまり、共和党支持者が多いと云うことになります。
実際にも、ブッシュ大統領のイラク戦争を支持する保守系ブロガーが沢山いることを、今年の3月に極右評論様が書いておられます(イラク戦争を支えるブロガーと米国の理念)。

しかしながら、ご存じのように、中間選挙でよりリベラル傾向の強い民主党が勢いを増した結果、それが米ブロガーの思想傾向にどの様な変化があるか?興味あるところです。
上のような反政府的(無政府主義らしいですが)思想をもつブロガーも有名どころらしいですから。
日本の一応、保守系ブロガーを自認したい筆者としては、そうしたブロガーの台頭は歓迎したくない傾向ではあります。



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