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東京裁判の呪縛度から観た総裁三候補


ここのところ,ちょっと忙しくなってきまして時事ニュース等の詳細を追い切れてませんでした。
それで今日は妙に大袈裟なタイトルとは裏腹に底浅な党総裁候補討論会(9/11,日本記者クラブ)についての感想を述べてみたいと思います。
自民総裁選:安倍氏の歴史認識、論戦の焦点にも 

先の大戦の歴史認識をめぐり、安倍晋三官房長官の主張が明確さを欠いている。植民地支配と侵略に「痛切な反省」と「おわびの気持ち」を表明した95年の村山(富市)首相談話には必ずしも肯定的ではないが、アジア諸国の反発を考え、発言は慎重になっている。戦争に対する評価を避けることで当面はしのぐ方針とみられるが、首相の歴史認識は外交姿勢に大きな影響を与えるだけに、総裁選の論戦で大きな焦点になりそうだ。

 安倍氏は11日、日本記者クラブ主催の党総裁候補討論会で、谷垣禎一財務相から「村山談話は侵略戦争と認めているが、どう考えるか」と問われ、「歴史的に内外に発表した文章で、その精神はこれからも続いていく」と述べた。

 3候補のうち谷垣氏と麻生太郎外相は中国との戦争について、それぞれ「侵略戦争だった」「侵略と言われてもやむを得ない」と明言。安倍氏は「侵略」との表現を避けており、渋々といった雰囲気が漂った。

 一方で、安倍氏は「個々の歴史の事実などの分析は本来は歴史家に任せるべきだ」と強調。戦争自体の評価は歴史家に委ねるべきだとの持論も重ねて強調した。

 昨年10月の官房長官就任前まで「日本は歴史問題について公式に20回以上謝罪を表明している。(過去の歴史に向き合っていないとの)中国の批判は当たらない」などと訴えてきた。7日の記者会見では「多くの国々の国民に対し、大きな被害を与えた、傷跡を残した。そうした事に対して、率直な反省の中で、平和で民主的な国を造ってきた」と述べたが、先の大戦は「過去の問題」というのが本音に近い。

 また、谷垣氏が72年の日中国交正常化の際、中国側が日本の戦争指導者と一般国民の責任を分けて考えることで賠償請求を放棄したとの歴史的経緯を指摘したことについては「文書は残っていない。国交正常化は交わした文書がすべてだ。日本国民を二つの層に分けることは中国側の理解かもしれないが、日本側は皆が理解していることではない」とも訴えた。

 ただ、中国が小泉純一郎首相の靖国神社参拝を問題視したのは、戦争を指導したA級戦犯が合祀(ごうし)されているから。両者を区別しない安倍氏の発言は、中国の反発を招く恐れをはらんでいる。


忙しいとは云いつつも,例の小林よしのり氏のサピオ関連話題を追っていた関係上,この毎日記事における三氏の発言の一端に,果たして東京裁判の呪縛は有るのか無いのかというのが気になりました。

サンフランシスコ(SF)平和条約,11条に関する筆者の考えを一言で述べるのは難しいのですが,敢えて言えば,単なるリンチでしかない東京裁判を日本国に公的に,そして強制的に認めさせるための楔の一種だったと思っています。
これは連合国側が決めた戦犯と称する人達を自分達の承認無しで勝手に赦免,減刑しちゃいけませんよという制約条項でしょう。だったら,今や日本には連合国の云う戦犯はいないわけですから,この11条は四回目(1955年)の戦犯釈放等に関する決議をもって用済みになっているはずです。

なお,公式(法的)には,服役中のいわゆるA級戦犯は減刑であって赦免ではなく,また刑死等の死亡者については何れの手続きも執られてはいないそうです。まぁどちらにしても国内法的には戦犯はいませんし,たとえ法的には上記措置であったとしても,これらを国民感情的に名誉回復とする解釈に筆者はもちろん異を唱える気はなく,それを支持いたします。

参議院議員吉岡吉典君提出日本の戦争犯罪についての軍事裁判に関する質問に対する答弁書
衆議院議員野田佳彦君提出「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書

ですから,個人的には諸判決だ,いや裁判そのものだと云う議論はどうでも良いと思っています,まぁ「一切の手続きを排除した諸判決のみを受諾した」に見なしたいという気持ちはありますが・・・。
そもそも,東京裁判は裁判としての体を為してないでしょう。事後法の遡及というおおよそ法理念を無視した訴追方法といい,見せ掛けだけの弁護人の設置といい,大川周明ではないですが,まさに皮肉を込めてコメディみたいなもんです。そんなものを否応なしに認めさせられた,でなかったら,独立できなかったわけですからね。そして,それはもう終わったわけです。
勿論,連合国の処断した罪自体は残存しているでしょう,しかし日本国から観れば,元々,罪なんてものは何の立件もされていませんし,我々がそれ自体やそれにまとわりついてくる歴史観に苛まれる必要などありません。

小林よしのり氏はこのような東京裁判に拘泥した歴史観を呪縛と捉えているのでしょう。ただ,氏がサピオで言った「講和条約11条の件でデマを流している」はやはり言い過ぎでしょうね。「11条の件」が「諸判決」を「裁判」と言い換えることを示すのなら,デマというのは間違いです。少なくとも,日本政府は公式には「裁判」と言っているわけで,一応,異なる解釈が可能なものを誤謬と呼ぶのはおかしいことになります。
講和条約11条から派生した歴史観を打ち砕いていこう!」なら大賛成ですが・・・・多分,氏が言いたいことはそういうことなのだと好意的に解釈しておきましょう。
尤も,「11条の件」が「いつまでも戦犯がいるかのように吹聴する」とか「中・韓には11条に文句をつける権利があるかのように吹聴する」とかなら,デマ度は高くなりますがね。



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どうも,本当に言いたかったことは以上のような気がします(笑)。まっしかし,せっかく記事を貼ってしまいましたので,アジア(特ア)外交に関する三候補の東京裁判呪縛度でも短めに考えてみます。

結論から云って皆様もうお分かりのように,谷垣氏(ハニ垣とも言うらしい)がダントツで呪縛度は高いでしょうね。何しろ,氏は日中戦争(支那事変)は侵略戦争だったと明言したわけですし,中共側の妙な階級史観(指導者が悪く,国民は悪くないとする考え方?)に言及するところなど,もう典型的な左巻きです。まぁ実際,この人はどうでもいいです。
次というか,後の二人は似たようなものです。麻生氏も安倍氏も今年の衆院予算委員会では「いわゆる極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している」と言ってます。そして,それに日本政府としては異議を申し立てる立場にないとも発言してます。コバ的に云えば,呪縛度は高いことになりますね。しかし,両氏の個人的意見は別にあるとしても,日本政府側の人間としてはこう云わざるを得ないのも悔しいですが致し方ないことでしょう。
無論,「いや,これは諸判決だけを受け入れることを意味しており,東京裁判自体の正当性など認めない」と政府解釈を変えてくれるのなら,こんなに良いことはないでしょうが,まぁ出来ないでしょうね。
仮にそれが出来るとしても,現在良好な関係を続けている連合国側(主としてアメリカですが)のご機嫌や今まで築いてきた関係を毀損することになるし,アメリカだってポツダム宣言(10条)違反や原爆投下の責任を盾にされちゃ困るでしょうから,まぁ日本政府もそこのところをよく熟知していて駆け引きとして暗黙の了解をしているってこともあるでしょうね。
それで,本題に戻りますが,麻生氏は日中戦争を「侵略と言われてもやむを得ない」とし,安倍氏は「それは歴史家に委ねること」としてますから「侵略」と明言しない点においては安倍氏の方が呪縛度は若干低いのかな? ただ,安倍氏も村山談話の精神を引き継ぎ・・・なんて言ってますから,似たようなものかもしれませんね。村山談話の精神なんて,引き継ぐような代物ではないでしょうに・・・国会の議決を経たものでも司法のお墨付きを貰ったものでもない談話を,何でこう後生大事に政府見解とするのか本当に不思議です。先の東京裁判の考え方とは全然ウェイトが違うのにねぇ。

因みに,SF条約における中国や朝鮮に関連する条項は21条と25条で規定されています(日本国との平和条約より)。
第21条【中国と朝鮮の受益権】

 この条約の第25条の規定にかかわらず、中国は、第10条及び第14条(a)2の利益を受ける権利を有し、朝鮮は、この条約の第2条、第4条、第9条及び第12条の利益を受ける権利を有する。

第25条【連合国の定義】

この条約の適用上、連合国とは、日本国と戦争していた国又は以前に第23条に列記する国の領域の一部をなしていたものをいう。但し、各場合に当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。
第21条の規定を留保して、この条約は、ここに定義された連合国の1国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も、この条約のいかなる規定によっても前記のとおり定義された連合国の1国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。

本来,中・朝はSF条約批准国ではないので適用外なのですが,21条によって中・朝には上記のそれぞれの条項に関する利益を受ける権限があるとされています。そこには両国共に11条は入ってませんので,彼らは日本に対して東京裁判に関わる苦情や歴史観の押しつけをする権利など無いとするのが保守派の一般的な見方です。当然,筆者もそう考えます。
ここでは示してありませんが,関わる10条,14条(a)2,そして2,4,9,12条にも,日本の歴史観にケチをつけられそうな項目は見当たりません(領土,財産,漁業権,通商等のほぼ経済的利益の条項です)。そして,これも全て終わっていることです。
したがって,無理に特アに媚びることなど法に則っても無いものと考えます。

こうしたこともあって,おそらく麻生氏や安倍氏らの保守派としては,表向き中・韓を重要視するように見せ掛けるだけで,その実,彼らの言い分が日本の進路決定を左右することなど無いものと考えているのではないでしょうか(安全保障問題は別としてですが)。
最も影響を受けるのは,やはり同盟国のアメリカであることは上記からも明らかです。取り敢えず,同盟は大事なことですが,これから日本はアメリカに精神まで売り渡さないように,お互い,持ちつ持たれつの関係でいきたいものです,安倍さんできるかな?

それに討論についてですが,何で?記者達は拉致問題にフォーカスした質問をしないんだろうか。北の核問題と絡んで現在危急の問題なのに・・・これも突き詰めれば,記者達の罹った呪縛の為せるワザかも。

そういう意味においては,最も呪縛度の高いのは谷垣氏ではなく,麻生,安倍のご両人なのかもしれませんね。
ダラダラと書いているうちに変な結論になってしまったところで終わりにしたいと思います。

今後も少しずつ仕事が忙しくなりますので更新のインターバルが空くかもしれません。申し訳ありません。



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