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安倍次期総理候補にとっての踏み絵は平壌宣言である(2)


前エントリーでは,未だ国際社会から独立国家として認められてはいない台湾でさえ,敢えて言いますが民主国家として,旅行業界という利益団体に向けて北への制裁を促してくれていることを述べました。
反して,日本ではこうした民間の団体に対しては飽くまで自発的制裁に頼らなくてはいけないお寒い状況です。そして,日本政府の対応は北の人間の入国を拒否するなど,従来では見られなかった措置を採るようになったとはいえ,やはり未だ何処かに決意を感じられない及び腰な姿勢が観られます。北に利する政治家やマスコミなどは全くもって問題外ですが・・・

筆者は北がミサイルを乱射したとき,日本政府はまず”日朝平壌宣言”を破棄してくれるだろうと思っていましたが,それは為されませんでした。場合によっては今の状態は十分に”事実上の破棄状態”と観る向きもありましょうが,筆者はそのようには考えてはおりません。
朝鮮新報のこの記事(ソンイルホの発言,抜粋)を観ると,北は必死に言い訳をして平壌宣言は有効と嘯いています。

私はミサイルの発射が平壌宣言に違反していないと確言できる。平壌宣言で「ミサイル発射保留」に関連した箇所は、「朝鮮民主主義人民共和国側はこの宣言の精神に従いミサイル発射の保留を2003年以降さらに延長する意向を表明した」という表現になっている。「この宣言の精神」はまさに平壌宣言の一番初めの部分で明らかにされている。「両首脳は朝・日間の不幸な過去を清算し懸案事項を解決し結実ある政治、経済、文化的関係を樹立することが双方の基本利益に符合し、地域の平和と安定に大きく寄与するという共通の認識を確認した」という部分だ。
 ひと言で言って、日本が過去を清算し国交正常化をするということだ。このような条件の下で保留措置が有効なのだ。
 
しかし日本はなしくずし的に宣言に違反する行動をとってきた。02年9月に平壌宣言が発表されたが、その後日本は偵察衛星を発射した。偵察衛星発射の目的は、朝鮮に対する偵察であると公言した。これ以外にもわれわれを狙った「外為および外国貿易法」の改定、「特定船舶入港禁止法」の採択、最近では「北朝鮮人権法」なども作り出した。はたしてこれが平壌宣言を履行するものと言えるのか。
 「ミサイル発射保留」は平壌宣言を尊重し履行する過程に属する問題だ。しかし日本は平壌宣言について話はしても、その背後でやりたいことを全てやってきた。 われわれは、平壌宣言が過去も現在も未来も2国間の関係改善においての重要な里程標になると考えている。したがってわれわれは、日本の中に反対の作用が存在しても、宣言の履行のために努力していくとの立場を堅持している。


確かに,この平壌宣言は日本(小泉総理)が可成り下位に立った形で半場強引に為されていますので,むかつきますが北にしてみれば,「まずはお前等が前提条件(朝・日間の不幸な過去の清算)を履行しろ」という理屈は当たり前なのかもしれません。2002年の冒頭にブッシュ大統領が「北朝鮮は悪の枢軸の一つ」と言ったのが契機となって,焦った金正日が日本のエージェント(田中均元外務審議官)を仲立ちとして,何故か?北が優越的に進めてきたのが”9.17 日朝首脳会談”でした。
重村早大教授がその辺りのことを本(外交敗北)にしておられるようですが,田中均氏が功を焦って売国的譲歩をしたことは確かなようです。ですから,この宣言は成り立ちからして既に日本は足元を見られていたことになります。そして,それは何も平壌宣言のような成文になどしなくても,この交渉段階で田中氏が北と約束したものなのでしょう。ここで,それとは「日朝間の不幸な歴史の謝罪と保証を前提とした膨大な経済援助」を指します。きこりさんも,このことを増元照明氏のご意見を掲載してエントリーで採り上げておられました。おそらく,これが北の言う「約束が違う」や「平壌宣言を反古にしているのは日本の方だ」の正体なのでしょう。
氏は次官レースに敗れて退官しましたが,昨今の言動を観ても,それを恥じるどころか,国益のためとのうのうと抜かすような人間です,それが何よりの証左でしょう。



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さて,当時からつい最近まで,この田中均氏のやり方を支持し,対北外交を任せてきたのは他ならぬ小泉総理です。ですから,こういうことが下手に平壌宣言を破棄して,それを報復として北側にばらされたら公的に自虐外交が曝露されてしまいかねないことになります。筆者はこんな詰まらないことが,小泉総理の決断を大きく鈍らせていたとするのならば,本当にもう許せないことと考えます。

北朝鮮が今,追い詰められているのは明らかなことでしょう。アメリカだけでなく,中国までもが取り敢えず,今までやろうともしなかった制裁を始めました。アメリカもそれを歓迎しているようです(中国の北朝鮮口座凍結、「勇気づけられる」米大統領報道官)。当の北朝鮮は「六者協議再開など有り得ない」などと強がりを言い,心根では更なる有志国での制裁に震え上がっています。六者協議など,自国の体制保持にとって有効な方策ではないと決断した北にとっては,これからどの様な戦略を立てて来るのか分かりませんが,おそらく唯一の頼りである核兵器を全面に出して恫喝をエスカレートさせることは自明でしょう。救う会会長の佐藤氏が言われるように,「地下核実験の強行」をするかもしれません。

日本としては,そうした国際的憂慮を少しでも解消するような動きをすることが重要で,何よりもやることは北の武器の源である「資金」を断つことにあります。ところが,先の平壌宣言に対して妙な遠慮があるために,日本はなかなか完全なる資金源の断裂に踏み切れてないように見受けられます。
あと2ヶ月ほどで,平壌宣言にある欺瞞を覆い隠すために「拉致問題の解決無くして国交正常化無し」と嘯いていた首相は退任します。
次期首相には何か突発的なことでも起きない限り,安倍晋三官房長官が就任するでしょう。筆者は以前に,彼の統一協会関与に対して批判したことがありましたが,そんなことより本当は「彼の打たれ弱さ」を心配しています。彼は麻生外相の対応の仕方を少し学んだ方が良いと思います。麻生氏も筆者が推奨する総理候補の一人ですが,こと北朝鮮対策にとっては,実はそれほど期待しておりません。麻生氏の歴史認識は非常に深く,おそらく安倍氏よりも上でしょう。ですが,北へのコミット具合を比べると拉致問題に限定すれば,それは可成り低いと云わざるを得ません。どうもエスタブリッシュメント特有の冷酷さが漂うのです。
勿論,外交にある種の冷酷さが必要なのは分かってはいますが,もう少し心情面を配慮する器量が必要だと思っています。安倍氏にはこれがあると思います。反安倍派の方々にとっては大いに異論があるところでしょう。ですが,筆者はあの有本さん(有本恵子さんの父上)が先の「国民大行進」で「本当の政治家は安倍晋三しかいない」と半場涙を浮かべて言われた言葉に「あ~あ,騙されてるよ」とは云えない雰囲気を感じました。彼ら拉致被害者の家族は今まで数多くの政治家やマスコミの裏切りを経験しておられますし,それで培われた偽りを見抜く目ももっておられます。そんな中で今をもってしても,彼に絶対の信頼を置いている安倍晋三という政治家をやはり邪険には扱えないというのが筆者の考えです。
ゆえに,彼の打たれ弱さから来るある種の迎合的消極性が気になる訳です。昨今の靖国参拝に関するトーンダウンした意向にもそれは観てとることができます。
平壌宣言を調印する際,身近で小泉総理に「拉致問題を盛り込まないのならこのまま調印せずに帰るべき」と直言した安倍氏ならできるはずです。

安倍次期総理候補にとっての踏み絵は何よりも「日朝平壌宣言」だと思います。彼が真に拉致問題を解決する気があるのなら,総理になってやることはその踏み絵を思い切り踏みつけて平壌宣言の破棄を断行することです。これは小泉総理や田中均から始まった対北売国外交の”柵(しがらみ)”から脱却できる非常に有効な道だと思います。
宣言破棄は北の方からさせるという戦略もあるでしょう。しかし彼にはまず,自発的にそれを切るという強い決意をみせて欲しい・・・もう一度,それでこそ安倍ちゃん!と思える力強さを是非とも見せていただきたいと思います。



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