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少子化と女性の社会進出の因果関係は?


内閣府が先月の27日に発表した「少子化社会に関する国際意識調査」に基づいたものと思われるが,NIKKEI NET EYE 「プロの視点」で浅川氏(日経新聞編集委員)が以下のコラムを発表している(日経の関連記事はこちら).題して,「少子化対策・本命は男性の意識転換(5/10)」
政府の少子化社会対策推進会議が、少子化対策で近く新たな提案を打ち出すが、その専門委員会がまとめた原案によると、3歳児までを対象にした乳幼児手当を設けるなど相変わらず「お金」を柱にした方針になりそうだ。だが、出生率を回復させた先進国を見ても明らかなように、「お金」とともに重要なのは、国民の意識転換、とりわけ父親の子育てへの距離を縮めることにある。
スウェーデン映画との隔たり  現在、父親の育児を描いたスウェーデン映画「ダブルソフト――パパの子育て奮闘記」の上映が各地で始まっている。同国第2の都会、イエテボリを舞台に、タクシー運転手とテレビの天気予報アナウンサーの夫婦が、出産から2、3年間、育児に翻弄される姿をユーモラスにつづった映画だ。
 生後半年までテレビ局を休んで一人で保育に専念していた母親が、「明日からは交代よ」と、父親に育児をバトンタッチする。このシーン以降、同国での一般の人たちの育児観と国の保育システムが徐々に浮き彫りになる。
 運転手が3人しかいない小さなタクシー会社の社員である父親は、同僚への気兼ねから、なかなか育児休暇を申し出られない。「あれっ、スウェーデンでも同じじゃない」と日本の観客はこの辺までは、自らの状況に照らして納得。だが、タクシーの助手席に子どもを同乗させて仕事に出て行ったり、ついに、如何ともしがたく、育児休暇を願い出るところにくると、あまりの国柄の違いに考えさせられてしまう。
 育児休暇を言い出された経営者や同僚は、決して嫌な顔をしないで、喜んで受け入れる。同国の男性の育児休暇取得率は80%に達しており、女性の84%に匹敵するレベルだから、映画が特別ではない。これに対して、日本は0.55%にすぎない。あまりの開きである。
 主役の父親役の俳優も、オーディションの時には育児休暇中。「実際に毎日育児に追われている中、息子を連れてスタジオに現れた」と、来日した女性監督のマリア・エッセーンは話す。「子どもとの接し方がとても落ち付いていて安心できた」と、彼を選んで良かったとも言う。
 スウェーデンでは、生後13カ月までは親が面倒をみて、その後は保育園という考え方だ。13カ月のうち父親は育児休暇を1カ月取得することになっているが、政府はこれを2カ月に延ばそうと検討中だ。育児休暇は最長1年半、そのうち60日は父親に割り当てられていて、母親がこれを奪ってはならない。
   育児休暇中の賃金保障にも日本とは差がある。スウェーデンでは、1年半のうち390日は休暇前の賃金の80%、その後の90日は1日900円。日本では、休暇前賃金の40%しか1年間の育児休暇中に保障されない。 あと20年で追いつくだろうか  スウェーデンでこうした制度が整ったのは1974年。「30年もの長期間で積み上げてきたから」と、エッセーン監督は謙遜気味に話すが、80%と0.55%にはあまりに隔たりがあろう。日本で制度化されたのは92年だから13年もたつ。
 やっと、最近になって、企業側の理解がちょっぴり進み、育児への父親の参画を促す動きが出てきたがまだ道遠しだ。子育ての基本法と言われる母子健康法の考え方は、相変わらず、育児の主体を母親に限定したまま。同法で家庭に配られるのは「母子健康手帳」であって、「親子健康手帳」ではない。同法には、父親という文言すら一言もない。
 もう1つ、数字面から圧倒的に開きがあるのは婚外出産数だ。「できちゃった婚」という言葉に表れているように、「婚」が必要なのが日本社会。欧州各国とも、「婚」とは関係なく出産、育児が行われ、それに社会が違和感を感じていない。  制度や企業の枠にいかに日本社会が縛られているか、その強度が実は出生率の各国差となって示されていると言えるかもしれない。


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これは男女の社会的性差をなくそうとするジェンダー思想に溢れた男女共同参画局御用達の言説だと思う.スウェーデンのような全く日本とは文化・伝統の異なる国との比較を,さも等価に扱わなければならないような錯覚に落としせしめる文章だ.
スウェーデンは福祉で有名な国だが,その分,重税国家ではなかったか.だとすれば,夫婦共働きの比率は日本より当然大きいだろうとの推論がすぐに成り立つ.女性も働かざるを得ないのだという,社会構造的背景を無視しておいて,”スウェーデンを見習いましょう”はないだろう.また,コラム中の赤字を付した部分からは強烈なるジェンダー臭が漂っている.特に,最後の「制度や企業の枠にいかに日本社会が縛られているか、その強度が実は出生率の各国差となって示されていると言えるかもしれない。」は,男女共同参画社会の目指す悪しき方向性,言い換えれば本音が垣間見える文言だ.要するに,日本という国を形作っている構造や仕組みの破壊願望だろう.無論,不必要な制度や枠組みはあるだろうから,それらを改革することは吝かではないが,問題は日本独自の伝統的観念を否定してまでこれらを進行させようとする思想にある.果たして,こうした考え方が日本人にとって,本当に必要なものなのかどうか,良いように踊らされてはいないか,賢明に判断した方がよい.
元東京女子大教授の林重義氏も先の調査報告に対して,同様のことを述べておられた(子供を産み育てやすいか」国際比較調査).林先生も仰るように,こういう偏向した調査も,あの10兆円の中から拠出して行っていることに腹が立つと同時に徒労感を感じる.

ところで,先のコラムで憂慮している”低出生率の問題”だが,これを女性の労働力率(15歳以上の人口に占める女性の労働力人口の割合)と関連付けた例のインチキグラフが,猪口大臣がよく使っていたものから少し改変されて未だ参画局HPに掲載されている(左写真が猪口使用(センセーの写真付き),右がHPに掲載されていたもの).このグラフの何処がインチキなのかはここを参照されたい.
センセー写真付きの方をよく観ると,右下にこのグラフの相関係数が出ており,R=0.55とあるのが分かる.これはもっともらしく引かれている直線の回帰より算出したものだろう.
参画局HPのグラフにはRが表示されていなかったので,この図から読み取ったデータを新たに散布図にしてRを算出してみたところ,R=0.57(上に有効数字を合わせた)だった(さらに下の図).相関係数とは,2変数間の関係の強さをあらわす係数で,2つの変数が右肩上がりの傾向を示すときには正の相関,逆に右肩下がりの傾向を示すときには負の相関があると言う.相関係数は-1から+1の値を示し,シンプルに云えば,それが0に近いほど両変数間の因果関係は希薄となる.
これらのグラフは母集団の選択の際に,それとなく相関が高くなるよう恣意的に作られたものなので,あまり意味はないのだが,面白いので,このR=0.55~0.57の統計学的意義を考えてみたい.hituyousei_3_3.gifinoguti.jpg
相関がある,ないの評価は対象となる変数がどの学問的カテゴリーに当てはまるかによって,その基準は異なるが,Rが0でなければ,一義的には相関は認められると言える.しかし,それは相関が認められるだけであって,相関の程度とは別問題であり,学問別にその程度は考慮され,評価されなければならない.
一般に,相関係数の解釈については以下のような考え方がある.

R<0.3 -無相関, 0.3≦R<0.7 - 弱い相関, 0.7≦R - 強い相関fitting-trans.gif

この考え方はy(出生率)の原因として,x変数(労働力率)が単一の場合を仮定したものだ(単回帰解析).つまり,原因と結果が一対一で対応する場合を指す.ここにある0.3や0.7と云う基準はxの変動説明率(vとする,v=Rの二乗)から導出されたもので,vで表すと,それぞれv=0.3の二乗=約0.1,v=0.7の二乗=約0.5となる.すなわち,yとxの因果関係として,一割,または五割,説明できることが相関の評価基準になる.ただし,この割合は多分に相対的なもので,一種のお約束ごとである.
これに上のグラフのRを当てはめると,労働力率と出生率の間には弱い相関があることになるが(v=0.30~0.32),果たしてこれがTVで強弁するだけの価値のある相関程度かどうかは疑問が残る.出生率の原因として,女性の労働力率が影響したと説明できる割合が3割程度しかないと考えれば残りの七割は別の要因があるとも言えるわけで,統計学的に観ても,何とも根拠のお寒いグラフだと推論できるだろう.それに加えて,恣意的な母数の質的操作をやっていることを考えたら,これを作った人間には基本的な統計知識すら無いことになる.どうせインチキやるなら,もっと派手にヤランカイナと思う.逆にもっともらしく見せるためには,これが限界だったのかな?
いずれにしても,こうした行いは出生率の低下の原因を無理矢理に女性の労働人口が低いことに起因するように見せ掛けるための悪辣な印象操作であると言えるだろう.勿論,筆者は全く無関係だと言っているのではない.飽くまで原因の一つに過ぎないことを,ある目的のために針小棒大に見せ掛けることが問題なのである.
以前,ある保守の女性地方議員が自ブログで,若者の性の乱れが男女混合名簿や男女同室着替えに原因があると発言したために,その根拠を示せと言ってギャラリーから叩かれるという事件があった.攻撃された側がどの程度の挙証責任を示せば,攻撃した側が納得するかどうかは分からないが(多分,統計学的証明でもしない限り納得しないだろうが・・・),ある2変数の因果関係を証明することの困難さを示す一例だろう.おそらく,女性議員が「若者の性の乱れには男女混合名簿や男女同室着替えにも原因の一端があるのでは?」位に止めておけば,ここまで攻撃されることはなかったとも思うのだが,それでもケチを付けてくるのが攻撃側の習性である.保守側の人間も同じ罠にはまらぬよう,気を付けたいものだ.
因みに,このジェンダー教育の弊害に関しては,先の林先生のサイトを参照願いたい.ここから始まる反フェミニズム論には先の攻撃側に対する反論を含めて,妥当な論拠が目白押しであるが,筆者としては,さらに上記の統計学的証明が出来るようになれば完璧だと思うのだが,さてどうだろうか?



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少子化の原因は未婚・晩婚 from 日本の傳統(伝統)を守らう! 2006/05/11 08:50 PM
少子化の原因は未婚・晩婚であることが国の調査でもはっきりと分かってゐます。にも関はらず男女共同参画や働く女性の子育て支援が少子化対策といふ嘘を...
猪口議長、人の話を聞いて下さい! from 奥田健次の教育改革ぶろぐろ部 2006/05/23 01:17 AM
ははは(笑)。やっぱりね。そうなると思っていたよ。

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